taniyakunのブログ

日々徒然を思いつくまま書いています。

坊や〜良い子だ目を覚まし〜  日本未来話

目覚めの一服

 
ある朝、痩せた神経質そうな目つきの鋭い男が訪ねて来た。
 
「お手数ですがちょっと市役所まで来て下さい。これはお願いではなく命令です!」
 
有無を言わさぬ態度で突然の事であった。
 
「何故ですか?
 
「市民税滞納の件でお話を伺いたいのですが」
 
「いや、税金は年金から天引きされてるはずですが?」
 
あくまでも慇懃な態度を崩さず男は自分の車に同乗を促す。
謂れなき請求に怒りを露わに
 
「分かりました、貴方の上司と話をさせて頂きましょう!!!」
 
やがて市役所に苦情を言うべく男と車に乗り込み市役所に向かった。
 
役所に着き別室に通されるとそこには二人の若い職員が待っていた。
其処は窓に鉄格子が嵌り家から一緒に来た男は入り口を背にして窓際の硬いパイプ椅子に座るよう指差した。
 
「何故ここに呼ばれたか解かりますか?」
 
小太りの若い男がニヤッと皮肉な笑みを浮かべながら質問した。
 
「市民税を収めてないって言われたんですが、年金から引き落とされてる筈ですが?」
冷静に返事をする。
 
私は狭い部屋に閉じ込められ、3人の男に囲まれた緊張から身構えていた。
 
家から一緒に来た痩せた男が
 
「税金滞納なんて大した問題じゃ無いんだよ!」
いきなり大声で怒鳴りつけた。
 
「じゃあ一体何なんの為に連れて来たんだ!」
 
思わず声を荒げて気の短い私は椅子を蹴って立ち上がり目の前の嘲笑った顔の小太りの男に殴りかかろうとした。
今までじっと黙って事の成り行きを部屋の隅でじっと見ていたスタン・ハンセンのような大男が、いきなりオレを引き寄せ首を羽交い締めにし臭い息を吐きながら私の耳元で囁くように
 
「お前!家でタバコを吸ってるだろう証拠はあがってるんだよ」
「日本中何処にも監視カメラが有ってお前のやっている事は全てYouTubeで流れてるんだ!」
 
丸太のような太い腕で首を締め付けられ目の前が真っ暗になった。

薄れて行く朦朧とした意識の中で 2030年禁煙法 が施行されたことが脳裏を掠めた。

 
「そうかタバコを吸っているのがバレたのか!」
 
年々増え続ける喫煙者に警察は対応できなくなり禁煙法は市役所の健康促進課が実権を持ち秘密裏に捜査し摘発していた。
 
どのくらいの時間意識が無かったのだろう
腕の痛みで気がつくと、後ろ手に手錠を掛けられ広い冷え冷えとした部屋の真ん中で冷たいパイプ椅子に座らされていた。
目の前の空間に浮いているモニターの画面の中には私の私生活のYouTubeの画面が流され
 
(爺〜〜死ね〜〜 反省しろ〜 タバコ臭〜〜い 自己チュー 税金払いすぎ ̄ ̄ ̄!)
 
等と様々な悪意のコメントが溢れ炎上していた。
 
やがて画面はSkypに切り替わりインターネット裁判が始まった。
ネット上の法廷が映し出され裁判長の「開廷」と言う重々しい声が聞こえる。
 
検察の冒頭陳述が始まった。
 
「被告人は50数年に及ぶ喫煙により副流煙受動喫煙により多くの人の健康を損ねた殺人未遂並びに大量殺人の罪は明白である。長年にわたり数千人に及ぶ殺戮を行なった罪で被告人に死刑を求刑致します。」
 
裁判長 「弁護人は意見がありますか?」
 
弁護人 「残念ながら弁護の余地はございません!」
突き放すように言った。
 
裁判長 「それでは市民陪審員に評決をお願い致します。死刑に賛成の方はグッドクリック👍いいねをして下さい。」
 
カシャカシャカシャ・・・・・・・
 
40万いいね👍 目標達成しましたので死刑執行致します。
 
「被告人に最後の望みをお聞きします?何か望みは」

 

「最後にタバコを1本点けさせてくれ〜〜〜!!」