taniyakunのブログ

日々徒然を思いつくまま書いています。

クジラ食ったど~!

食物考

 
昭和30~40年代に食べ盛りで成長した親父の 世代は牛肉、豚肉が高級品であった。
クジラを見ると給食に出てきた竜田揚げや脱脂粉乳コッペパン、親父が酒の肴にしていた鯨ベーコンなどが脳裏に浮かぶ。
鯨肉は「また、今日のおかずはクジラ~」とチョット不満げになるほど度々食卓に上がって食わされたもんです。
成人していっぱしの大人ぶった頃には居酒屋で「鯨の尾の身サイコー」なんて通ぶって注文するような高級品になり、いまや鯨を食べると外国人やベジタリアンから顰蹙を買うような時代になりました。
 
毎日見ている海も過ってはイルカの追い込み漁が盛んだった港で伊東では昔からクジラもイルカも食べています。
近くのスーパーではイルカのタレ(干物)など普通に売っているポピュラーな食材です。
日本国内でも地方によればイナゴや蜂の子、熊、鹿、狸など、身近に取れる物は全て食料になっています。
元々どこの国でも地方でも食文化 というものは身近に取れたものを美味しく食べる為創意工夫をしながら培ったものです。
 
戦後駐留米軍マッカーサー夫妻に晩餐会で鯛の潮汁を出したところお椀の蓋を開けると鯛の頭が入っていてそれを見た途端にマッカーサー夫人が驚いて慌てて蓋をして主催者を睨み付け「悪い冗談だ」と言ったエピソードが有りますが食文化の違いは人種や宗教、育った環境で仕方のない事です。
日本料理では一昔前は1匹の魚の頭の部分は目上の人に出す事が当たり前であった。
 
オーストラリアではカンガルーも食べる習慣があるしアフリカではラクダも食べる!
イスラム社会に於けるイード.アル=アドハー(犠牲祭)の羊の生贄やフランス料理に使う鳩やウサギ、鵞鳥に無理矢理餌を食わせ肥大した肝臓(フォアグラ)中国や韓国では犬を食べる等々、 食文化の違いは数え上げればキリがない。
 
いまや食の世界もグローバル化で平均的な日本人は和、洋、中、イタリアン、韓国、インド、タイ料理等々世界中の料理を食べている。
食事は習慣的なもので子供の頃から食べてきた物が美味しく感じられ、それが食べて良いものと認識している。
 
需要と供給のバランスで希少な食材は高くなりありふれた物は安くなる。
マグロのトロなんか江戸時代には保存の技術もなく食べずに捨てていた。伊豆の名産金目鯛なども食材としての歴史は近年40〜50年ほどでまだ浅く、目が金色に光っている赤い深海魚で一般の人は気味悪がって食べない時代も有ったとか。
戦後、食の欧米化に伴い日本人の嗜好は魚でも肉でも脂の多い物を好むようになった。
経済情勢の変化と輸送に於ける食材の保存方法の発達で今では中国人や欧米人も日本からトロを輸入して食べるようになった。
ほんの30年程前には中華料理で出る魚と言えば鯉の唐揚げに野菜のあんかけが定番だった。中国も経済発展して食生活がかわったのであろう。
アメリカやヨーロッパさえ生魚は沿海地方でしか食べなかったが今では世界中で寿司が食べられている。
 
絶滅危惧種であるクロマグロシロナガスクジラももうすぐ庶民は口にすることはないでしょう。
価格が高く希少なものは美味く、安くありふれたものは不味いと云う錯覚で食べ物を評価してしまう愚かさ。
 
近頃テレビを見ているとやたらと食べ歩き番組ばかりでタレントが大げさに美味いと云うと一般人がコロッと騙されそのお店に押し寄せる。お店側も有名人が来たからうちの料理は美味いんだと自慢げに壁にタレントのサインを貼りまくる。
世間の風潮でグルメ情報に踊らされた挙句太り過ぎてダイエットに走る。
タレントがダイエットにリンゴやバナナが良いと言えばあくる日にはスーパーから売り切れて無くなる!
必要以上に食べて必要以上に痩せたがる。
何かおかしい世の中だと思うのは自分だけだろうか?
 
今、日本人は飽食の時代で世界中の食料を輸入し挙句の果てに多くを廃棄している。
全てが経済優先で野菜でも魚でも消費者の求める形の揃った均一なもの外食産業に売れる以外商品価値がなく捨てたり中国やアフリカに輸出する。
 
食文化には必ず時代背景がありその時代により食べて良いもの悪いもの、嗜好も食物の保存方法も捕り方も全て変わっていく。
しかし、今の時代の尺度で先人の知恵と工夫で長年創り上げてきた食文化を否定するのは失礼な気がします。
 
今の社会は経済活動に根本があり「金の都合で」人間の嗜好も思考も世界中で動いています。
戦後、アメリカは農産物の増産輸出計画を国策にして帰還兵の失業対策として農業復帰や輸出の増大を図り既に工業化した農業で捨てるに困るほど生産し置き場に困る程有り余った農産物の処分先に日本をターゲットにしました。
食べ物が無かった日本は喜んでアメリカから農産物を輸入して学校給食の制度を創り出し成人後まで牛肉やパンやケーキ、など日本人の嗜好を変える事でアメリカの経済発展に貢献する食生活を推進したのです。
 
食事もただ単に個人の好みや嗜好で判断する前に自分の目の前に何故その食べ物が目の前にあるのか考えると様々な要因がある。
 
例えば今ではポピュラーな「お好み焼きやもんじゃ焼き」などどうして出来たか考えた事があるでしょうか?
子供のおやつもろくに買えない時代に安い輸入小麦粉を使い創意工夫でお好み焼きやもんじゃ焼きがポピュラーになったのです。
若い世代は今の具材豊富なお好み焼きを想像するでしょうが親父の世代のお好み焼きはメリケン粉(アメリカから輸入したので関西では小麦粉のことをメリケン粉と言います。)を薄くクレープ状に焼いたものにトンカツソースを塗ってるだけの駄菓子で安価なものでした。
そんなものでも腹が減ってると美味く感じたものでした。
 
私達、親父の世代はアメリカや日本の政治家によって経済中心の考え方で否応なく給食での食育、学校教育、ハリウッド映画やテレビ番組などで大量消費の思想や豊かな事が幸せだと常識までも植え付けられたのです。
 
現在ではインターネットの普及で消化しきれないほど多くの情報が飛び交っています。様々な情報を自分の頭で考え何が正しい選択なのか幸せな人生なのか解る良い時代です。
 
物事には必ず良い面と悪い面が有り全ての情報が正しい訳では有りませんが情報量が多ければより多くの選択肢があります。
人が生きる為には何らかの犠牲の上で命を維持しています。
何が社会や地球にとってより良いことなのか考え続け歴史に学び社会の常識に騙される事なく自分に正直に自然に生きていきたいです。
自然と共生する為には必要以上に食わず頂いた命は知恵と工夫を重ねて畏敬の念を持ち感謝して残す事なく美味しく頂きたいと思います。
 
 
 
 

定置網にセミクジラ 伊東市川奈―魚市場騒然 

伊東版 2018年02月20日 伊豆新聞より転載

引き上げられたセミクジラの回りを取り囲む漁業、市場関係者=伊東魚市場
引き上げられたセミクジラの回りを取り囲む漁業、市場関係者=伊東魚市場
クレーンを使ってセミクジラを伊東魚市場に引き上げる漁業者=伊東港
クレーンを使ってセミクジラを伊東魚市場に引き上げる漁業者=伊東港

 ■9メートル、9トン 絶滅危惧種、市と漁協対応協議

 伊東市川奈の定置網に大きなクジラが入り19日、新井の伊東魚市場に引き上げられた。いとう漁協によると、体長約9メートル、重さ約9トンのセミクジラという。同漁協川奈定置網担当理事の加藤敦之さん(52)は「今までにない大きさ」と話し、市場内でも「こんなに大きいのは初めて」との声が飛んだ。

 加藤さんによると、18日午後に釣り人から「(定置網の中で)潮を吹いている」との連絡があり、船を出して定置網内にクジラが入っているのを確認した。19日午前6時ごろ、網を見に行くとクジラが網に突き刺さって息絶えていたという。「生かして逃がしてあげたかった」と加藤さんは残念がった。

 クジラはその後、ダイバーが潜ってロープを掛け、網から抜いた。巨体なため船に上げることができず、船の横にロープで縛り付け、普段は15分ほどの海路を約30分かけてゆっくりと伊東魚市場へ運んだ。同漁協川奈支所で使っているクレーンを魚市場に持ち込み、陸へと上げた。

 ブリタニカ国際大百科事典によると、セミクジラは絶滅危惧種に指定され、成体は体長17~18メートル、重さ80~100トンとされる。今回のクジラはセミクジラとしては小さな部類。定置網にクジラが入ることは珍しくないが、漁業、市場関係者は「こんな大きなセミクジラは見たことない」と口々に話し、カメラ付き携帯電話で撮影する人が多かった。

 引き上げられたクジラについては現在、市や漁協が対応を協議している。

 【写説】引き上げられたセミクジラの回りを取り囲む漁業、市場関係者=伊東魚市場

 【写説】クレーンを使ってセミクジラを伊東魚市場に引き上げる漁業者=伊東港